
2026年10月下旬、ストッキング・タイツメーカーのアツギがSNSで大きな批判を集めました。
アツギ炎上はなぜ?ストッキングで何があった?
発端は10月24~25日ごろ、購入者がアツギのストッキングを開封したところ、商品を包む厚紙に、
「女性も知っておきたい、男性の更年期症状のこと」
という解説が掲載されていたとして、Xに写真を投稿したことです。
投稿者が強い嫌悪感を示したことから、「ストッキングを買った女性になぜ男性への理解を求めるのか」といった反応が広がりました。
ただし、今回問題になった文章は炎上直前に新しく作られたものではありません。
アツギは2024年8月21日に「性ホルモンとの上手な付き合い方」という全12話の情報発信を発表し、同年8月下旬出荷分から中台紙を順次切り替えていました。
「キモい紙」の正体はストッキングの中台紙
SNSで「キモい紙」などと呼ばれたものは、正式には中台紙と呼ばれるストッキングの包装材です。
中台紙とは、商品の色や質感を分かりやすく見せるため、ストッキングの中に差し込まれている厚紙のことです。
アツギは2007年から、この中台紙をCSR活動の情報発信媒体として活用しています。
最初に扱ったテーマは乳がんで、その後も子宮頸がん、生理、女性ホルモンなど、女性の健康や暮らしに関係する情報を掲載してきました。
つまり、今回突然ストッキングに健康情報を入れ始めたわけではありません。
男性更年期の紙には何が書いてあった?
今回問題になった中台紙のタイトルは、
「女性も知っておきたい、男性の更年期症状のこと」
です。
男性も加齢などによって男性ホルモンが減少し、心身に更年期症状が出ることがあることや、周囲が理解することの大切さなどを紹介する内容でした。
この文章は「性ホルモンとの上手な付き合い方」という全12話シリーズの第11話です。
公式資料では、
- 性ホルモンの基礎知識
- 月経と女性ホルモン
- 性ホルモンの分泌量
- 月経周期や心身の変化
- 女性ホルモンを大切にするヒント
- 低用量ピル
- 女性ホルモンと骨量
- 体脂肪と女性ホルモン
- 性ホルモン減少による変化
- 女性の更年期とホルモン補充療法
- 男性の更年期症状
- かかりつけ医
という構成になっています。
男性更年期だけを12種類配布しているわけではなく、シリーズの中の1テーマだったということです。
なぜ女性向けストッキングで男性更年期を紹介した?
では、なぜ女性が主に購入するストッキングで男性更年期を取り上げたのでしょうか。
アツギは11月4日のJ-CASTニュースの取材に対し、全12話では女性ホルモンと上手に付き合うための情報を中心に扱いながら、「性ホルモン全体への理解を深める」という観点から男性ホルモンについても取り上げたと説明しています。
2024年の公式発表でも、「男性側にもトピックを広げ、女性ホルモン・男性ホルモンを含む性ホルモンへの理解を深める内容を目指した」と説明していました。
つまり会社側の狙いは、
女性に男性の世話を求めること
ではなく、
性ホルモンや健康への理解を広げること
だったとしています。
アツギが炎上した理由は主に3つ
今回の批判は、男性更年期というテーマそのものよりも、「誰に、どこで伝えたのか」に集中しました。
1.なぜ女性向け商品で男性の健康情報なのか
最も多く見られた疑問は、「男性更年期ならまず男性自身に知らせるべきではないか」というものでした。
ストッキングという女性向け商品を購入した際に突然男性の更年期に関する情報が出てくるため、商品とメッセージの対象が合っていないと感じる人がいました。
2.女性に男性のケアを求めているように受け取られた
「女性も知っておきたい」というタイトルや周囲の理解を呼びかける内容から、
「なぜ女性側が男性の体調まで気遣う役割を求められるのか」
と受け止める声も広がりました。
アツギはこの点について11月5日、AdverTimes.の取材に、
女性だけに男性への配慮を求める意図はなかった
と明確に否定しています。
3.過去の炎上も再び話題になった
アツギは過去にも女性向け商品の広告表現をめぐって批判を受けています。
そのため今回のSNS上でも、「過去の炎上から変わっていないのでは」といった反応が出て、以前の問題まで掘り起こされました。
男性更年期を啓発すること自体が問題なの?
ここは分けて考える必要があります。
今回、SNSで主に問題視されたのは男性更年期という健康課題を紹介したこと自体ではありません。
「女性が買うストッキングの中台紙で、女性へ向けて男性更年期を紹介した」という伝え方に対して疑問が集まりました。
実際、SNSでは批判だけでなく、
「男性更年期への理解は必要」
「この内容の何が問題なのか分からない」
といった擁護意見も確認されています。
AdverTimes.によると、問題になった文章は医師の監修を受け、社内の確認体制を経て制作されたとアツギは説明しています。
そのため、医学情報そのものが誤っていたことによる炎上ではありません。
アツギは公式に謝罪した?
2026年11月6日時点で、今回の男性更年期の中台紙について、アツギが公式サイトで謝罪文を発表した事実は確認できません。
アツギの最新ニュース一覧にも、今回の件についてのお詫びは掲載されていません。
一方、メディアの取材には回答しており、
「さまざまな意見を真摯に受け止めている」
との姿勢を示しています。
したがって今回は、
批判を受け止めるコメントは出している
ものの、
会社として非を認めて謝罪したわけではない
という状況です。
「女性への配慮要求」ではないとアツギが説明
11月5日のAdverTimes.への回答では、さらに踏み込んだ説明がありました。
アツギは今回の取り組みについて、
性ホルモンへの理解を深め、健康について考えるきっかけにすることが目的
だと説明。
「女性のみに配慮を求めることを意図したものではない」としています。
一方で、「そのように受け取られたこと」については、今後の企業活動や情報発信を考える際の意見として受け止めると回答しました。
男性更年期の紙は掲載中止になる?
2026年11月5日時点では、掲載を中止する予定はありません。
アツギはJ-CASTニュースとAdverTimes.双方の取材に、
「現時点で見直しの予定はない」
と回答しています。
つまり、炎上を受けて、
紙を回収する
文章を削除する
内容を差し替える
といった対応は発表されていません。
今後の情報発信については、今回寄せられた意見を参考にするとしています。
「2026年10月から掲載」は間違い
今回の炎上が2026年10月末だったため、「最近になって男性更年期の文章を入れた」と思われがちですが、これは違います。
アツギの公式資料では、第11弾「性ホルモンとの上手な付き合い方」は2024年8月下旬の出荷分から順次導入されています。
つまり、
2024年8月:掲載開始
↓
約2年間商品に使用
↓
2026年10月24~25日ごろ:X投稿が拡散
↓
10月末~11月:炎上・報道
↓
11月4~5日:アツギが取材に見解
という流れです。
「炎上を狙って2026年に作った文章」ではありません。
不買運動は起きている?
SNS上では、今回の内容に反発し、アツギの商品を買わないと表明する投稿も確認されています。
ただし、これはSNS上の個別投稿です。
大規模な不買運動に発展していることを示す客観的な販売データや調査結果は、2026年11月6日時点では確認できません。
そのため、「全国規模の不買運動になった」と断定するのは適切ではありません。
過去には「ラブタイツ」で炎上
アツギの過去の炎上として特に知られているのが、2020年11月の「#ラブタイツ」キャンペーンです。
複数のイラストレーターがタイツを履いた女性を描く企画でしたが、一部に性的な表現を連想させるイラストがあったとして批判が集中しました。
アツギは当時、
キャンペーンを中止
関連投稿を削除
公式に謝罪
し、社内の確認体制やSNS運営管理体制を全面的に見直すと発表しています。
今回との大きな違いは、2020年についてはアツギ自身が不適切な表現だったと認めて謝罪・中止した点です。
2023年には「黒タイツは芋くさい」で謝罪
2023年11月にも、公式Xの広告表現が問題になりました。
アツギは、ベージュのタイツと黒ストッキングを重ねる着用方法を紹介する際、
黒タイツを履くことを「芋くさい」と受け取られる表現
を使用。
黒タイツを普段から利用している人への配慮を欠いているなどとして批判が集まりました。
アツギは投稿を削除し、「配慮に欠ける表現があった」と謝罪しています。
過去の炎上と今回の違いは?
3つの騒動を比べると違いが分かります。
| 時期 | 内容 | アツギの対応 |
|---|---|---|
| 2020年 | #ラブタイツ | 謝罪・企画中止・投稿削除 |
| 2023年 | 黒タイツを「芋くさい」とする表現 | 謝罪・投稿削除 |
| 2026年 | 男性更年期の中台紙 | 意図を説明・現時点で変更なし |
今回、アツギは「情報の内容や取り組み自体に問題があった」とは認めていません。
むしろ、性ホルモンへの理解を広げるCSR活動だったと説明しつつ、伝え方への反応を今後の参考にするという立場です。
アツギ炎上はなぜ?理由をまとめると
2026年10月のアツギ炎上は、ストッキングの中台紙に、
「女性も知っておきたい、男性の更年期症状のこと」
という健康情報が掲載されていた写真がXで拡散したことから始まりました。
批判の中心は、
なぜ女性向け商品で男性更年期を紹介するのか
なぜ男性自身ではなく女性側へ理解を呼びかけるのか
という「情報を届ける相手・場所」に関する疑問です。
一方、アツギによれば、この中台紙は2007年から続けているCSR活動の一環で、問題の文章も2024年8月下旬から使用していました。
男性更年期は全12話のうち1話で、アツギは「性ホルモン全体への理解を深める」ために取り上げたと説明しています。
2026年11月6日時点では、
公式な謝罪は確認できない
中台紙の掲載中止・変更予定もない
女性だけに男性への配慮を求める意図は否定
という状況です。
そのため今回の騒動は、男性更年期というテーマの正誤よりも、女性向けの商品を通して誰に何を伝えるべきかという企業コミュニケーションの受け止め方をめぐって賛否が広がったケースと整理できます。

