
2025年9月30日に閉園した札幌市南区の「ノースサファリサッポロ」で、札幌市が2026年11月2日に立ち入り検査を行ったところ、獣舎など22棟の違法建築物が残っていることが確認されました。
札幌市は運営会社「サクセス観光」に対し、2026年3月23日、都市計画法に基づいて違法建築物37棟を10月31日までにすべて除却するよう命令していました。
しかし期限後の11月2日時点でも22棟が残存。
10月9日の立ち入り検査では25棟だったため、約3週間で3棟は撤去されましたが、期限内の完全撤去には至りませんでした。
なぜ22棟も撤去できなかった?
最大の理由として運営側が挙げているのが、園内に残っている動物の移送問題です。
HTBによると、2026年9月末時点で園内には約220頭の動物が残っていました。
サクセス観光側は、現在残している22棟について、動物の檻や餌の保管場所などとして必要な「最低限の建物数」だと説明しています。
11月2日の立ち入り検査でも、残っている建物は主に動物を収容している獣舎でした。
つまり、
動物を移動できない
↓
獣舎を空にできない
↓
建物を解体できない
という状態になっています。
札幌市は「20年以上前から指導」と反論
一方、札幌市は「動物の移送に時間が必要」という説明だけでは、期限を守れなかった理由として十分ではないとの立場です。
11月2日の検査後、市開発指導課の坪田修一課長は、サクセス観光側が時間不足などを主張していることについて、市は20年以上前から違法状態を指摘してきたとして、事業者の責任で動物移送と建物撤去を進める必要があるとの考えを示しました。
ノースサファリサッポロでは、市街化調整区域で許可を得ず建築物を増やした問題が長年続いていました。
2025年9月時点では違法建築物が122棟あり、その後大幅に撤去が進んだものの、2026年3月時点でも37棟が残っていたため、市が法的拘束力のある除却命令へ踏み切っています。
「25棟から22棟」に減ったのはなぜ?
10月9日の札幌市による確認では25棟が残っていました。
11月2日には22棟となったため、3棟が新たに撤去されたことになります。
毎日新聞によると、この間に物置などが除去されました。
一方で現在残っているのは、動物がいる獣舎などが中心です。
撤去作業そのものが完全に止まっているわけではありませんが、動物の移送先が決まらないことが、大きな障害になっています。
撤去期限の延長を求めたが認められず
サクセス観光は、札幌市が設定した2026年10月31日の期限について「短すぎる」などとして反発していました。
同社は、
除却命令の取り消し
と
撤去期限を2027年11月末まで延長すること
を求め、2026年6月に行政不服審査請求を行いました。
しかし札幌市開発審査会は10月2日、この請求を棄却。
20年にわたり市の指導に従わなかった経緯などから、市の除却命令には合理性があると判断しました。
新しい動物園ができるまで待ってほしい?
サクセス観光側が期限延長を求めた背景には、新たな動物園の計画があります。
現在、ノースサファリに残された動物の管理・飼育は、東京の投資会社が設立した「北海道アニマルワールド」が引き継いでいます。
北海道アニマルワールドは、札幌近郊に新しい動物施設を整備し、そこへ残る動物を移す計画を進めています。
しかし札幌市の秋元克広市長は10月29日の会見で、北海道アニマルワールドの計画と、サクセス観光に対して出した除却命令は別法人の別問題だと説明。
新しい動物園の完成を理由として、除却期限を延ばす考えは示していません。
動物220頭は現在どうなっている?
2026年9月末時点では、旧ノースサファリサッポロの園内に約220頭の動物が残っていました。
閉園時には300頭以上が残っていましたが、一部は他の施設へ移送されています。
一方、
ライオンなど人に危害を与える可能性のある動物
高齢の動物
移送そのものにリスクがある動物
などについては、受け入れ先の確保が難航してきました。
現在は北海道アニマルワールドが飼育・管理を引き継ぎ、旧サクセス観光の従業員約20人も受け入れていると報じられています。
動物220頭の移送先は北海道アニマルワールド?
正確には、北海道アニマルワールドが飼育を引き継いでいるものの、220頭すべての最終的な移送先が決まったわけではありません。
毎日新聞によると、北海道アニマルワールドは200頭を超える動物を引き受ける方針で、札幌市内や近郊に複数の移転候補地があります。
しかし2026年11月2日時点では、
具体的な移転先
すべての動物の移送日
は決まっていません。
したがって「北海道アニマルワールドの新動物園へ220頭全頭が移ることが決定した」という段階ではありません。
新しい動物園はどこ?いつ開園する?
北海道アニマルワールドは、新施設について約3万坪規模の敷地を想定しています。
動物がより野生に近い環境で暮らせるよう、広い獣舎などを整備する構想です。
候補地は札幌近郊の3か所とされていますが、土地所有者との交渉などが難航しています。
そのため2026年11月2日時点では、
新動物園の場所:未決定
開園日:未発表
です。
「○○市に新しいノースサファリができる」と確定した情報はありません。
ノースサファリサッポロはなぜ閉園した?
ノースサファリサッポロは2005年に開園しました。
しかし施設があった場所は、原則として建物の新築などが制限される市街化調整区域でした。
札幌市によると、開業当初から約20年間、必要な許可を得ないまま獣舎などの建築を続けていたとされています。
問題が大きく報じられた後、運営会社は2025年9月30日をもって閉園しました。
ただし、閉園したことで違法建築物を残してよいことにはならず、市は引き続き撤去を求めています。
札幌市は11月中に再び行政指導へ
11月2日の立ち入り検査で22棟が残っていたことを確認した札幌市は、11月中にも書面で建物の速やかな撤去を求める方針です。
つまり、除却命令の期限が過ぎたから直ちに市が建物を壊すのではなく、まずは事業者へ履行を強く求めます。
市はサクセス観光側に対して、
動物を移送する
↓
獣舎などを空にする
↓
残る22棟を撤去する
よう引き続き求めていくことになります。
刑事告発される?
札幌市は、除却命令が守られなかったことを受け、刑事告発も選択肢として検討しています。
ただし2026年11月2日時点では、
刑事告発を正式に決定した
警察へ告発状を提出した
との発表はありません。
市開発指導課は、今後の撤去状況を見ながら刑事告発を含む対応を検討するとしています。
したがって「サクセス観光が刑事告発された」とするのは現時点では早いでしょう。
行政代執行で札幌市が強制撤去する可能性も
もう一つ検討されているのが行政代執行です。
行政代執行とは、命令を受けた事業者が義務を履行しない場合に、一定の手続きを経て行政側が代わりに撤去などを実施する仕組みです。
札幌市も11月2日、行政代執行について「行政として取り得る手段」として検討していることを明らかにしています。
ただし、こちらもまだ実施が決定したわけではありません。
特に今回は、建物の中に多数の動物がいるため、単純に重機を入れて撤去することはできず、動物の安全な移送が先に必要となります。
今後どうなる?
2026年11月2日時点では、問題は大きく2つ残っています。
一つは、違法建築22棟の撤去。
もう一つは、約220頭の動物の移送先確保です。
今後想定される流れは、
札幌市が11月中に書面で撤去を催告
サクセス観光側が撤去・動物移送を進める
北海道アニマルワールドが新施設の候補地を確保
という動きです。
それでも除却命令が履行されない場合、市は刑事告発や行政代執行を検討するとしています。
ノースサファリサッポロの22棟と動物220頭をまとめると
札幌市は2026年11月2日、閉園したノースサファリサッポロへ立ち入り検査を行い、違法建築物22棟が残っていることを確認しました。
10月9日時点の25棟から3棟は減りましたが、市が命じた10月31日の完全撤去期限には間に合いませんでした。
サクセス観光側は、約220頭の動物が残っており、現在の22棟は飼育のため最低限必要だと説明しています。
動物については北海道アニマルワールドが飼育を引き継ぎ、札幌近郊で新たな動物園をつくる計画を進めています。
ただし、
新動物園の場所は未決定
開園時期も未定
220頭すべての移送先も確定していない
という状況です。
札幌市は11月中にも改めて撤去を求める書面を出し、それでも改善が進まなければ刑事告発や行政代執行を検討します。
今後は、動物の移送先がいつ決まるのか、残る獣舎をいつ撤去できるのか、札幌市が強制的な法的措置へ踏み切るのかが焦点になります。

