
三重県伊賀市の稲森稔尚市長(42)を巡る職員へのパワーハラスメント疑惑について、2026年10月23日、市議会の百条委員会がパワハラに当たると認定しました。
さらに、市長が証人尋問で問題となった発言を否定したことについて、百条委員会は虚偽の陳述に当たると判断。地方自治法違反の疑いで告発を求める方針も調査報告書に盛り込みました。
問題となったのは2024年12月26日、市と民間企業との公共施設売買契約を巡る職員とのやり取りです。
担当職員は、市長から、
「やらないなら、あなたの処遇も考えますよ」
「異動希望を書いてください」
などと言われたと証言しています。
一方、稲森市長はこうした発言を一貫して否定し、百条委員会の認定についても「一方的で結論ありき」と反論しています。
2026年10月24日時点では、百条委員会がパワハラと虚偽陳述を認定した段階であり、稲森市長の刑事責任が確定したわけではありません。
稲森稔尚市長のパワハラ問題を時系列で確認
今回の問題は、市長就任直後の2024年12月から始まりました。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年11月 | 稲森稔尚氏が伊賀市長に就任 |
| 2024年12月26日 | 公共施設売買契約を巡り、市長と担当職員がやり取り |
| 12月27日 | 当時の上司から副市長へ経緯を報告 |
| 2026年4月17日 | 職員が市議会議長へハラスメント申立書を提出 |
| 6月26日 | 伊賀市議会が百条委員会の設置を決議 |
| 8月~9月 | 職員、市長、当時の上司らを証人尋問 |
| 10月23日 | 百条委がパワハラと虚偽陳述を認定 |
| 10月29日予定 | 調査報告書を議長へ提出 |
| 10月30日予定 | 本会議で調査結果を報告 |
百条委員会は2026年6月に設置され、その後、申立人や当時の上司、市長本人などへの証人尋問を重ねました。
最終的に10月23日、職員側の証言を信用できるとしてパワハラ認定に至っています。
2024年12月26日に何があった?
発端となったのは、伊賀市が民間企業と結んでいた公共施設の売買契約です。
この契約では期限内に工事が完了しなかったことに加え、市長が買受人である企業の特定社員の雇用などを問題視していたと報じられています。
稲森市長は担当職員へ契約解除を求めましたが、職員側は正当な解除理由にはならないとして対応できない旨を説明しました。
その際、市長から職員の処遇や異動に関する発言があったかどうかが、今回の最大の争点となりました。
稲森稔尚市長は職員に何を言った?
申立人の職員は、市長から電話で、
「やらないなら、あなたの処遇も考えますよ」
「異動希望を書いてください」
などと言われたと証言しています。
さらに電話後、市長が職員のいる部署を訪れ、再び異動希望を出すよう求めたとされています。
当時の上司も百条委員会で、市長が職員に対して「異動届を出してください」という趣旨の発言をしたのを直接聞いたと証言しました。
一方、稲森市長は「処遇に関わる発言はしていない」「異動希望について発言した認識もない」と否定しています。
なぜ百条委員会はパワハラと認定した?
百条委員会が重視したのは、申立人本人だけでなく、当時の上司など複数の証言が主要部分で一致していたことです。
特に当時の財務部長は、市長が異動希望を出すよう求める発言について、
「私の目の前で言った」
という趣旨で証言を繰り返しています。
これに対して稲森市長は、上司の証言について「記憶違いではないか」という趣旨の説明をしました。
百条委員会は最終的に職員側の証言を信用できると判断し、市長の人事権を背景に職員の身分保障を揺るがす言動だったとしてパワハラと認定しました。
市長という人事権を持つ立場から「処遇を考える」「異動希望を書いてください」と言われれば、職員に与える心理的な圧力は一般の同僚間の発言とは異なります。
この上下関係も認定の重要な要素になったとみられます。
契約解除を求めたこと自体は認めている
稲森市長は、民間企業との契約解除を担当職員へ求めたこと自体については認めています。
ただし、その指示は公約実現や問題解決を目的とした正当な業務指示だったとの立場です。
つまり市長側は、
契約解除を指示したことは認める
一方で、
人事上の不利益を示唆する発言はしていない
と主張しています。
今回の百条委員会では、契約解除を求めたことそのものよりも、その過程で人事権を背景に職員へ圧力をかける発言があったかどうかが問題となりました。
なぜ「虚偽証言」「虚偽陳述」と判断された?
稲森市長は百条委員会の証人尋問で、職員の処遇や異動に関する問題発言を否定しました。
しかし百条委員会は、申立人や当時の上司などの証言を総合し、実際には発言があったと認定しています。
その結果、市長が宣誓したうえで行った証言について、地方自治法上の「虚偽の陳述」に当たると判断しました。
百条委員会は地方自治法第100条に基づく強い調査権を持ち、証人は宣誓して証言します。
地方自治法では、宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合に刑事罰を定めており、議会が虚偽陳述と認めた場合は告発が問題になります。
ただし、百条委員会の認定だけで刑事責任が確定するわけではありません。
稲森市長はすでに刑事告発された?
2026年10月24日時点では、百条委員会が虚偽陳述として告発を求める方針を決めた段階です。
今後、10月29日に調査報告書が議長へ提出され、30日の本会議で調査結果が報告される予定です。
正式に告発された場合は、警察など捜査機関が事実関係を調べ、その後に検察が起訴・不起訴を判断することになります。
したがって現時点で、
逮捕された
起訴が決まった
地方自治法違反で有罪になった
という事実はありません。
告発されたとしても、必ず逮捕されるわけではありません。
稲森市長は「結論ありき」と反論
10月23日の百条委員会終了後、稲森市長は記者会見を開き、パワハラ認定に強く反論しました。
市長は今回の判断について、
「一方的で結論ありきの議論に基づく事実認定で、極めて不当」
という趣旨で主張しています。
さらに、虚偽陳述を理由に刑事告発された場合には、
「司法の場で正々堂々と戦い、真実を明らかにしたい」
との姿勢も示しました。
つまり市長は現在も問題の発言を認めておらず、百条委員会側と市長側の主張は真っ向から対立しています。
稲森稔尚市長は辞任する?不信任決議は?
百条委員会によるパワハラ認定を受け、「市長は辞任するのか」という点にも注目が集まっています。
しかし2026年10月24日時点で、稲森市長は辞任を表明していません。
むしろ百条委員会の判断を否定し、告発された場合は司法の場で争う考えを示しているため、現時点では市長職を続ける姿勢とみられます。
また、市議会が稲森市長への不信任決議を可決した事実もありません。
地方自治法では、市長への不信任決議には出席議員の4分の3以上の賛成など厳しい要件があります。
今後、市議会内で不信任案が検討されるかどうかは現時点では分かっていません。
百条委員会の認定だけで市長が処分される?
百条委員会は事実関係を調査する機関です。
そのため、パワハラが認定されたからといって、それだけで市長が自動的に停職や失職になるわけではありません。
稲森市長は選挙で選ばれた自治体の首長であり、一般の市職員に対する懲戒処分とは仕組みが異なります。
今後の進退に影響する可能性があるのは、
刑事告発後の捜査
市議会の対応
本人による辞任判断
不信任決議
などです。
現時点では、具体的な処分や失職は決まっていません。
10月29日と30日が今後の焦点
次の大きな動きは10月29日と30日です。
百条委員会は10月29日に調査報告書を議長へ提出し、翌30日の本会議で調査結果を報告する予定です。
その後、
虚偽陳述を巡る正式な告発
市議会としての追加対応
稲森市長の進退表明
などが出るかが注目されます。
特に「告発方針」が正式な刑事手続きへ進むのかどうかは、今後の記事更新で重要なポイントになるでしょう。
稲森稔尚市長はどんな人物?
稲森稔尚氏は1983年11月生まれで、2026年10月時点で42歳です。
伊賀市の公式プロフィールによると、大東文化大学法学部政治学科を卒業後、三重大学大学院人文社会科学研究科を修了しています。
主な経歴は次の通りです。
| 年 | 経歴 |
|---|---|
| 1983年11月 | 三重県伊賀市柏野に生まれる |
| 2006年 | 大東文化大学法学部政治学科卒業 |
| その後 | 三重大学大学院人文社会科学研究科修了 |
| 2006年 | 介護施設職員 |
| 2009年 | 伊賀市議会議員に初当選 |
| 2015年 | 三重県議会議員に初当選 |
| 2019年 | 三重県議2期目 |
| 2023年 | 三重県議3期目 |
| 2024年11月 | 伊賀市長に就任 |
今回問題となった2024年12月26日の出来事は、市長就任から約1か月後に起きています。
伊賀市長のパワハラ問題で今後どうなる?
2026年10月23日、伊賀市議会の百条委員会は、稲森稔尚市長が職員に対して、
「あなたの処遇も考えますよ」
「異動希望を書いてください」
などと発言したと認定し、人事権を背景にしたパワハラに当たると判断しました。
さらに、これらの発言を否定した市長の証言について虚偽の陳述と判断し、告発を求める方針も決めています。
一方、稲森市長は発言そのものを否定し、百条委員会の結論について「結論ありきで不当」と反論しています。
2026年10月24日時点では、
刑事責任は確定していない
逮捕・起訴されていない
辞任を表明していない
不信任決議も可決されていない
という状況です。
今後は、10月29日の調査報告書提出、30日の本会議、虚偽陳述を巡る告発手続き、そして稲森市長自身の進退が大きな焦点になります。

