
宮崎市青島の「ANAホリデイ・イン リゾート宮崎」で、温泉施設の水質検査からレジオネラ属菌が検出されていたにもかかわらず、26回にわたって宮崎市保健所へ報告していなかったことが明らかになりました。
運営会社の青島リゾートによると、記録が残る2020年5月から2026年9月までに実施した水質検査106回のうち、28回でレジオネラ属菌の陽性反応が確認され、このうち26回が保健所へ報告されていませんでした。
MRT宮崎放送によると、基準値を超える検出について未報告となっていた期間は2020年12月から2026年5月に及び、検出量は最大で基準値の4倍だったとされています。
ホテル側は2026年10月26日に会見を開き、青島リゾートの田川勝美社長が謝罪しました。
26回も保健所へ報告しなかった経緯は?
今回の問題で最も大きな疑問は、
なぜレジオネラ属菌が検出されたのに保健所へ報告しなかったのか
という点です。
ホテルでは検査で陽性となった際、保健所へ報告せず、
清掃や配管洗浄
↓
独自に再検査
↓
陰性を確認
↓
問題なしとして扱う
という対応を繰り返していたとされています。
田川社長は、陽性結果が出たこと自体は把握していたものの、
再検査で陰性になれば保健所への報告は必要ないと誤って認識していた
という趣旨で説明しています。
しかし宮崎市では、浴槽水などの水質検査でレジオネラ属菌が検出された場合、保健所へ速やかに報告し、電話でも連絡して指示を受けるよう求めています。
再検査で陰性になったからといって、最初の陽性結果を報告しなくてよいという仕組みではありません。
106回検査して28回陽性、26回未報告
数字を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 判明している内容 |
|---|---|
| ホテル | ANAホリデイ・イン リゾート宮崎 |
| 運営会社 | 青島リゾート株式会社 |
| 社長 | 田川勝美氏 |
| 調査対象 | 2020年5月~2026年9月の記録 |
| 水質検査 | 106回 |
| 陽性反応 | 28回 |
| 保健所への未報告 | 26回 |
| 最大検出量 | 基準値の4倍と報道 |
| 発覚 | 2026年9月の社内申し出 |
| 市への報告 | 2026年10月20日 |
| 会見 | 2026年10月26日 |
| 健康被害 | 現時点で確認なし |
「28回陽性なのに26回未報告」というのは、28回すべてが未報告だったという意味ではありません。
28回の陽性確認のうち、26回について必要な報告がされていなかったということです。
なぜ問題が発覚した?従業員の社内通報がきっかけ
問題が明らかになったきっかけは、行政の抜き打ち検査ではありません。
2026年9月、温泉施設の管理を担当する従業員から、
過去の検査結果の取り扱いに問題があるのではないか
という申し出が上司へありました。
会社が過去の検査記録を調査したところ、多数の陽性結果が保健所へ報告されていなかったことが判明しました。
青島リゾートはその後、10月20日に宮崎市へ問題を報告しています。
つまり今回の問題は、内部の従業員による指摘をきっかけに発覚したことになります。
「隠蔽」だった?田川勝美社長の説明は
ネットでは「26回も報告しなかったのなら隠蔽ではないか」という疑問も出ています。
ただし現時点で、行政や捜査機関が「組織的な隠蔽だった」と認定した事実は確認されていません。
一方、田川勝美社長は会見で隠蔽の有無について質問され、
「隠蔽は決してありませんでした、と私の口からは言えない」
という趣旨の発言をしています。
会社側は「再検査で陰性になれば報告は不要だという誤った認識があった」と説明しています。
したがって現段階では、
26回の未報告は確認された事実
ですが、
意図的な隠蔽だったかどうかは確定していない
と分ける必要があります。
レジオネラ菌は最大で基準値の4倍
MRTによると、過去の検査ではレジオネラ属菌が最大で基準値の4倍検出されたケースがありました。
レジオネラ属菌は自然界にも存在する細菌ですが、浴槽や配管などの人工設備で増殖すると、レジオネラ症を引き起こす可能性があります。
厚生労働省によると、汚染された浴槽などから発生する細かな水滴、いわゆるエアロゾルを吸い込むことで感染する場合があります。
特に注意が必要なのが、
循環式浴槽
打たせ湯
ジャグジー
シャワー
など、細かな水滴が発生しやすい設備です。
レジオネラ症になるとどうなる?
レジオネラ症には、大きく分けて「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」があります。
レジオネラ肺炎では、
高熱
せき
呼吸困難
悪寒
全身倦怠感
頭痛
筋肉痛
などがみられ、治療が遅れると重症化する場合があります。
特に、
高齢者
喫煙者
免疫機能が低下している人
透析患者
移植患者
などは重症化リスクが高いとされています。
なお、一般的にレジオネラ症は人から人へ感染する病気ではありません。
ホテル利用者の健康被害は?
2026年10月29日時点で、ANAホリデイ・イン リゾート宮崎の温泉利用に起因する健康被害は確認されていません。
ホテル側も健康被害の報告はないとしています。
また、直近の2026年8月に実施された水質検査では、採水箇所すべてでレジオネラ属菌が不検出(陰性)だったとされています。
10月21日には宮崎市保健所による立ち入りも行われ、ホテル側の案内によれば、日次・週次・月次・年次の清掃や消毒の管理記録について確認を受けています。
現在は温泉すべてが営業停止?
温泉施設すべてが営業停止しているわけではありません。
2026年10月29日時点では、
岩風呂:利用休止
打たせ湯:利用休止
となっています。
一方、
大浴槽など:営業中
で、ホテルの宿泊・レストラン・宴会・会議も通常通り営業しています。
サウナについても、ホテル公式の温泉案内では通常設備として案内されており、今回の報道で営業停止対象として挙げられているのは岩風呂と打たせ湯です。
なぜ岩風呂と打たせ湯だけ休止?
ホテルは、特に菌がたまりやすいリスクがあるとして、岩風呂と打たせ湯について設備改修などを検討しています。
厚生労働省も、打たせ湯のようにエアロゾルを発生させやすい設備では、レジオネラ属菌の管理に特に注意が必要だとしています。
したがって現在の休止は、ホテル全体の温泉が危険と判断されたというより、設備上のリスクを考慮して一部を止めている形です。
岩風呂・打たせ湯の営業再開はいつ?
2026年10月29日時点で、岩風呂と打たせ湯の具体的な営業再開日は発表されていません。
ホテル側は「当面の間」利用を休止すると案内しています。
今後、
設備の改修
衛生管理方法の見直し
安全確認
などを行ったうえで、再開時期を判断するとみられます。
したがって、予約している人は宿泊直前にホテル公式サイトで最新の営業状況を確認した方がよいでしょう。
ホテルには現在も宿泊できる?
宿泊自体は可能です。
ホテル側は、
宿泊
食事
宴会
会議
について通常通り営業すると案内しています。
大浴場も岩風呂・打たせ湯を除いて営業しているため、ホテル全館が営業停止になったわけではありません。
「レジオネラ菌が出たためホテル自体が閉館している」という情報は誤りです。
予約をキャンセルしたら返金される?
2026年10月29日時点で、今回の問題を理由とした全予約を対象とする特別な無料キャンセル・一律返金措置は確認できません。
ホテルは宿泊を通常通り続けています。
そのためキャンセル料については、
予約した宿泊プラン
予約サイト
キャンセルする時期
旅行会社の規約
などによって異なる可能性があります。
ホテルは今回の件について利用者からの相談に対応すると案内しているため、岩風呂や打たせ湯の利用を目的に予約した人などは、ホテルや予約先へ個別に確認するのが確実です。
田川勝美社長が謝罪!再発防止策は?
青島リゾートの田川勝美社長は10月26日の会見で謝罪し、過去の誤った運用を改める考えを表明しました。
ホテルが示している主な再発防止策は、
清掃作業を夜間から日中へ変更
外部の専門業者によるメンテナンス
すべての水質検査記録を改ざんできない状態で保管
岩風呂・打たせ湯の設備改修を検討
などです。
ホテル公式サイトでも、2026年10月から大浴場の定期清掃・メンテナンスを夜間から日中へ変更し、設備点検と衛生管理を強化すると案内しています。
宮崎市の行政処分はどうなる?
宮崎市では、レジオネラ属菌が検出された場合、施設側に速やかな報告を求めています。
今回、ホテル側が26回にわたって必要な報告をしていなかったことは判明しています。
ただし2026年10月29日時点で、
営業停止命令
営業許可の取消し
罰金などの具体的な行政処分
が決まったとの発表は確認できません。
現在、一部設備はホテル側の判断で利用を休止しています。
今後、宮崎市が過去の検査結果や管理方法をどのように評価し、追加の行政指導や処分を行うのかが注目されます。
ANAホリデイ・イン宮崎のレジオネラ問題をまとめると
ANAホリデイ・イン リゾート宮崎では、過去の温泉水質検査でレジオネラ属菌が繰り返し確認されていたにもかかわらず、26回にわたり宮崎市保健所へ報告していなかったことが明らかになりました。
記録が残る2020年5月から2026年9月までの検査106回のうち28回で陽性反応が確認され、MRTによると最大で基準値の4倍が検出されています。
ホテルでは陽性結果が出ると清掃や配管洗浄を行い、再検査で陰性になれば保健所への報告は不要だと誤って判断していました。
問題は2026年9月、従業員からの内部申し出によって発覚しました。
田川勝美社長は謝罪していますが、「隠蔽ではなかった」と断言できるかという質問については慎重な発言をしています。
一方、2026年10月29日時点では利用者の健康被害は確認されておらず、直近8月の検査結果も陰性です。
現在は、
岩風呂・打たせ湯のみ休止
その他の大浴場などは営業
宿泊・レストランなども通常営業
となっています。
岩風呂と打たせ湯の再開日はまだ発表されていません。
今後は、宮崎市による対応、設備改修後の営業再開、再発防止策が実際に機能するかが大きな焦点になります。

