都営地下鉄の談合6社はどこ?5億円の課徴金と違反内容を解説
都営地下鉄の談合6社はどこ?5億円の課徴金と違反内容を解説

東京都交通局が発注する都営地下鉄などの軌道保守工事をめぐり、施工業者6社が入札前に受注する会社を決めるなどの談合を繰り返していたとして、公正取引委員会が独占禁止法違反を認定する方針を固めました。

関係すると報じられている6社は、東鉄工業、坪井工業、早川建設、日信工業、三軌建設、東急軌道工業です。

このうち東急軌道工業を除く5社に対し、公取委は再発防止を求める排除措置命令と、総額約5億円の課徴金納付命令を出す方針です。すでに処分案が通知されており、各社の意見を聞いたうえで正式決定されます。

一方、東急軌道工業は公取委による調査が始まる前に違反を自主申告したため、「課徴金減免制度(リーニエンシー)」が適用され、排除措置命令と課徴金納付命令を免れる見込みです。

さらに、公取委は発注元である東京都交通局側の職員が談合に関与していなかったかについても調査しています。ただし、2026年10月14日時点で東京都職員の関与が認定されたわけではありません。東京都交通局も独自に事実関係の調査を進めています。

都営地下鉄の談合6社はどこ?会社名一覧

独占禁止法違反を認定する方針と報じられているのは次の6社です。

会社名所在地など処分の見通し
東鉄工業東京都品川区排除措置命令・課徴金納付命令の対象
坪井工業東京都中央区排除措置命令・課徴金納付命令の対象
早川建設東京都台東区排除措置命令・課徴金納付命令の対象
日信工業神奈川県川崎市排除措置命令・課徴金納付命令の対象
三軌建設福岡県福岡市排除措置命令・課徴金納付命令の対象
東急軌道工業神奈川県川崎市自主申告により処分免除の見込み

5社への課徴金は合計で約5億円になる見通しです。

東鉄工業

東鉄工業は東京都品川区に本社を置く東証プライム上場企業です。

鉄道の線路工事や土木・建築工事を主力とし、2026年3月期の連結売上高は約1630億円。線路の施工や鉄道関連工事を主要事業としています。

今回の談合問題では、他の4社とともに排除措置命令と課徴金納付命令を受ける見通しと報じられています。

坪井工業

坪井工業は東京都中央区に本社を置く建設会社です。

今回、東鉄工業などとともに東京都交通局の軌道保守工事で受注調整に関わったとされ、課徴金納付命令などの対象になる見込みです。

早川建設

早川建設は東京都台東区に本社を置く施工業者です。

同社も今回の6社に含まれ、公取委が独占禁止法違反を認定する方針だと報じられています。

日信工業

今回対象になっている日信工業は、神奈川県川崎市に本社を置く鉄道線路工事会社です。

同社の公式サイトによると、軌道の新規敷設や保守工事、土木工事などを手がけ、主要取引先には東京都交通局も挙げられています。

同名の企業がほかにもあるため、今回報道されている川崎市の日信工業と別会社を混同しないよう注意したいところです。

三軌建設

三軌建設は福岡市に本社を置く総合建設会社で、JR九州建設グループに属しています。

同社は2026年10月13日、公正取引委員会から「排除措置命令書(案)」と「課徴金納付命令書(案)」に関する意見聴取通知書を受け取ったと公式発表しました。

2025年11月11日に公取委の立ち入り検査を受け、それ以降は調査に協力してきたと説明しています。

三軌建設は通知内容を精査し、公取委から予定されている命令内容について説明を受けたうえで、今後の対応を検討するとしています。

東急軌道工業

東急軌道工業は神奈川県川崎市に本社を置く軌道工事会社です。

公式サイトによると、軌道の新設・改良・保守などを専門としており、東急グループの鉄道工事会社として事業を行っています。

今回の談合への関与自体は認定される見通しですが、他の5社とは違い、課徴金などを免れると報じられています。

都営地下鉄の談合で6社は何した?

今回、公取委が問題視しているのは「受注調整」です。

報道によると、6社は数年前から東京都交通局が発注する軌道保守工事について、入札前にどの会社が受注するかを決めていたとされています。

入札前に受注予定の会社を決めた

本来の競争入札では、それぞれの企業が独自に価格や条件を決めて入札します。

ところが6社は、

「この工事はこの会社が受注する」

という形で、入札前に受注予定者を決めていたとされています。

その後、他の会社が受注予定社より高い価格で入札するなどすれば、表面的には競争入札でも、実際には受注する会社が事前に決まっている状態になります。

こうした受注調整は、独占禁止法が禁じる「不当な取引制限」に当たる場合があります。

公取委は今回の6社について、この独禁法違反を認定する方針です。

談合はいつから行われていた?

2026年10月13日の時事通信報道では、6社は「数年前から」談合を行っていたとされています。

一方、処分対象となる契約の具体的な開始時期や、各社がいつから受注調整へ参加していたのかについては、正式な公取委の処分内容がまだ公表されていません。

そのため現段階では「○年から談合していた」と具体的な年を断定できません。

談合の対象になった路線はどこ?

報道によると、談合の対象には東京都交通局が運営する6つの鉄道路線が含まれています。

  • 都営浅草線
  • 都営三田線
  • 都営新宿線
  • 都営大江戸線
  • 都電荒川線
  • 日暮里・舎人ライナー

レール交換などの軌道保守工事で受注予定者を事前に決めていたとされています。

つまり、都営地下鉄4路線だけではなく、東京さくらトラムとして運行される都電荒川線や、日暮里・舎人ライナーも対象です。

路線ごとに落札会社が決まっていた?

報道では、大半の工事について「路線ごとに特定の会社が落札していた」とされています。

仮に特定企業が毎回同じ路線を落札するよう受注調整していたのであれば、競争入札が形骸化していた可能性があります。

ただし、

「どの会社がどの路線を担当する取り決めだったのか」

という具体的な割り振りまでは、2026年10月14日時点で公表された報道から確認できません。

正式な排除措置命令が公表された際には、談合の具体的な仕組みや対象期間がさらに明らかになる可能性があります。

なぜ談合した?理由は明らかになった?

6社がなぜ受注調整を続けていたのかについて、各社の具体的な動機まではまだ明らかにされていません。

一方、東京都交通局は軌道保守業界について、夜間作業が中心であることなどから技術者・作業員不足が深刻化し、一部では入札不調が続いていると説明しています。

軌道保守工事には鉄道工事特有の技術や人員が必要で、対応できる企業が限定されやすいという業界事情があります。

ただし、施工会社が少ないことや技術者不足が、受注予定者を事前に決めることを認める理由にはなりません。

公取委は、こうした事業環境とは別に、企業間の受注調整が独禁法に違反したかどうかを判断しています。

約5億円の課徴金は誰が払う?

公取委が課徴金納付命令を出す方針なのは、次の5社です。

  • 東鉄工業
  • 坪井工業
  • 早川建設
  • 日信工業
  • 三軌建設

総額は約5億円になる見通しです。

各社の課徴金はいくら?

2026年10月14日時点では、会社ごとの課徴金額は正式に公表されていません。

分かっているのは「5社合計で約5億円」という点です。

そのため、

「東鉄工業○億円」

「三軌建設○千万円」

といった個別金額を現時点で断定することはできません。

正式な課徴金納付命令が出た際に、公取委から会社別の金額が公表される可能性があります。

なぜ東急軌道工業だけ処分されない?

6社の中で扱いが異なるのが東急軌道工業です。

東急軌道工業も談合への関与は認定される見通しですが、公取委による調査開始前に違反を自主申告したとされています。

課徴金減免制度「リーニエンシー」とは?

独占禁止法には、カルテルや入札談合に参加していた事業者が自ら公取委へ違反を申告し、調査へ協力した場合、課徴金を減額・免除する制度があります。

これが「課徴金減免制度」、一般にリーニエンシーと呼ばれる仕組みです。

談合は複数企業が秘密裏に行うため、内部の企業から自主申告を促すことで違反を発見しやすくする目的があります。

今回、東急軌道工業は公取委の調査前に自主申告したため、排除措置命令と課徴金納付命令を免れる見込みです。

処分なし=談合していないではない

ここは誤解しやすいポイントです。

東急軌道工業は、

「談合していなかったから処分されない」

と報じられているわけではありません。

公取委は同社についても独禁法違反を認定する方針ですが、自主申告による課徴金減免制度が適用されるため、行政処分を免れる見込みです。

約5億円の課徴金はもう正式決定した?

2026年10月14日時点では正式決定前です。

共同通信によると、公取委はすでに5社へ処分案を通知しており、今後各社から意見を聞いて最終的な命令を決めます。

三軌建設も公式に、受け取ったのは「排除措置命令書(案)」「課徴金納付命令書(案)」についての意見聴取通知書だと発表しています。

したがって現段階では、

「約5億円の課徴金を科す方針」

であり、

「すでに5社へ約5億円の課徴金が正式に確定した」

という段階ではありません。

排除措置命令とは何?

5社には課徴金納付命令とともに「排除措置命令」が出される見通しです。

排除措置命令は、独占禁止法違反となる行為をやめさせ、今後同じ行為を繰り返さないための対応を企業へ求める行政処分です。

一般には、違反行為を取りやめたことを確認したうえで、

  • 同様の受注調整を行わない
  • 役員・従業員へ周知する
  • 法令順守体制を整える

といった措置が求められます。

今回の5社に具体的にどのような再発防止策が命じられるかは、正式な命令内容の公表を待つことになります。

公取委はいつから調査していた?

公取委は2025年11月11日、都営地下鉄などの軌道工事をめぐり施工業者へ立ち入り検査を行っています。

三軌建設は公式発表で、同日に独占禁止法違反の疑いによる立ち入り検査を受け、その後調査に協力してきたと説明しています。

そこから約11カ月後の2026年10月13日、処分案が明らかになりました。

東京都交通局の職員も談合に関与した?

今回の問題では施工業者6社だけでなく、工事を発注した東京都交通局側も注目されています。

読売新聞などは、公取委が東京都交通局の職員が談合に関与していなかったかについても調べていると報じています。

「官製談合」と認定されたわけではない

2026年10月14日時点で、

  • 都職員が予定価格を漏らした
  • 特定会社へ受注させるよう指示した
  • 業者間の受注調整に参加した

と公取委が認定したとの発表はありません。

そのため、現時点で「東京都職員による官製談合だった」と断定することはできません。

確認されているのは、公取委が発注側についても調査しているという段階です。

東京都交通局も独自調査を開始

東京都交通局は10月14日、今回の報道を受けて公式コメントを発表しました。

交通局は、2025年11月以降、公取委による軌道保守工事の調査が続いており、全面的に協力していると説明しています。

さらに、

「交通局としても事実関係を把握すべく、調査を進めています」

とし、東京都側でも独自の確認を進めていることを明らかにしました。

公取委の調査状況を踏まえ、今後適切に対応するとしています。

東京都職員の処分はある?

現時点で東京都交通局職員に対する処分は発表されていません。

そもそも職員が談合へ関与したかどうか自体が調査中です。

もし今後、予定価格の漏えいや業者への便宜供与などが確認されれば、東京都による懲戒処分や、行為の内容によっては別の法的問題へ発展する可能性もあります。

ただし、2026年10月14日時点でそのような不正が認定されたわけではありません。

東京都はすでに軌道保守工事の発注方法を見直し

東京都交通局は2026年9月、軌道保守工事について発注方法を試行的に変更しています。

交通局によると、夜間作業を中心とする鉄道メンテナンス業界では技術者不足が問題となっており、一部工事で入札不調が続いていました。

主な変更点は、

  • 発注時期を大幅に前倒し
  • 単年度契約から複数年度契約へ変更
  • 工事積算方法の見直し
  • 入札参加要件の見直し
  • 一部工事を交通局自身で実施

などです。

交通局は、安定的な軌道保守体制を維持しながら「適正な競争環境を確保する」ことを目的に挙げています。

ただし、この9月の見直しは今回の処分案を受けて発表された再発防止策ではありません。

公取委による正式処分後、談合問題を踏まえた追加対策が示されるかが確認点です。

談合で都営地下鉄の工事費は高くなった?

談合が行われると、本来の価格競争が働かなくなり、発注者がより高い工事費を負担する可能性があります。

しかし今回、東京都が談合によって「具体的にいくら損害を受けたか」という金額はまだ公表されていません。

今回報道されている約5億円は、

東京都の損害額ではなく、5社へ科される見込みの課徴金総額

です。

そのため「東京都が5億円損した」とするのは正確ではありません。

談合で都営地下鉄の運行に影響はある?

2026年10月14日時点で、この談合問題を理由に都営地下鉄が運休するとの発表はありません。

東京都交通局の運行情報でも、今回の談合問題を理由とした大規模な運行停止は案内されていません。

今回問題となっているのは、線路の保守・補修工事を発注する際の入札です。

現在走っている列車の運行そのものとは別の問題になります。

一方、軌道保守工事は鉄道の安全運行を支える業務です。

東京都交通局は今後も必要な施工業者を確保しながら、公正な競争環境を維持する仕組みを作ることになります。

6社は今後どうなる?

今後まず行われるのは、公取委による意見聴取です。

5社は通知された処分案について意見を述べる機会があり、それを踏まえて公取委が正式な排除措置命令と課徴金納付命令を決定します。

正式決定後には、

  • 各社の課徴金額
  • 違反期間
  • 対象となった具体的な工事
  • 受注調整の詳しい方法
  • 再発防止措置

などが、より詳しく公表される可能性があります。

東京都側の調査結果も焦点

もう一つの焦点は、東京都交通局側の調査です。

公取委は都職員の関与についても確認を続け、東京都交通局自身も独自調査を始めています。

東京都側の関与がなかったのか、それとも発注方法や内部管理に別の問題があったのかによって、今後の再発防止策も変わってきます。

都営地下鉄の談合6社で現在分かっていること

2026年10月14日時点で、都営地下鉄などの軌道保守工事の談合に関与したとされているのは、東鉄工業、坪井工業、早川建設、日信工業、三軌建設、東急軌道工業の6社です。

6社は数年前から、都営浅草線・三田線・新宿線・大江戸線、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーのレール交換などの入札で、受注する会社を事前に決めていたとされています。

公取委は独占禁止法が禁じる不当な取引制限に当たるとして違反を認定する方針です。

東急軌道工業を除く5社には、排除措置命令と総額約5億円の課徴金納付命令を出す見通しです。

ただし、約5億円の課徴金は正式決定前で、各社へ処分案を通知し、意見を聞いている段階です。

東急軌道工業は公取委の調査前に自主申告したため、課徴金減免制度が適用され、行政処分を免れる見込みです。

また、公取委は東京都交通局側の職員が談合に関与していなかったかについても調査していますが、職員の不正関与はまだ確定していません。

東京都交通局も10月14日、公取委の調査に全面的に協力するとともに、独自に事実関係を調べていると発表しました。

今後は、公取委による正式処分と5社それぞれの課徴金額、東京都職員の関与の有無、さらに軌道保守工事の入札制度や競争環境をどのように見直すのかが焦点となります。