
仙台市の郡和子市長による海外出張費が、2023年度から2025年度までの3年間で総額6672万円に上っていたことが注目されています。
郡市長はこの3年間に、国際会議への出席や観光プロモーションなどを目的として7カ国・地域へ計11回出張しました。
2026年9月の仙台市議会で伊藤優太市議が、パリ出張などを例に「市民から見れば高すぎるのではないか」と経費の妥当性を問題提起。
これを受け、仙台市は10月23日から海外出張の経費内訳や日程、成果をホームページで公開しています。
6672万円は郡和子市長1人に使った金額?
ここは誤解されやすいポイントです。
6672万円は郡和子市長1人の航空券や宿泊費ではありません。
市長に同行した職員の旅費のほか、
- 航空運賃
- 宿泊費
- 通訳費
- 現地での車両借り上げ
- 通信費
- 現地で行う事業に必要な経費
などを含めた11回の海外出張全体の総額です。
郡市長自身も10月14日の会見で、「帯同する職員全ての分を含む金額」であり、市長1人に6672万円が使われたかのような情報が広がったことに懸念を示しています。
単純平均すると、1回あたり約607万円ですが、訪問先や人数、滞在期間、通訳や現地事業の内容が異なるため、各出張を同じ条件で比較することはできません。
3年間でどこへ11回出張した?
仙台市が公表している2023~2025年度の海外出張は次の通りです。
| 年度 | 出張先 |
|---|---|
| 2023年度 | バンコク、ニューヨーク、ブリュッセル、バンコク |
| 2024年度 | 香港、パリ、マニラ、バンコク |
| 2025年度 | パリ、パリ、台南 |
主な目的は、
国際会議への出席
観光客誘致のトップセールス
国際線就航に向けた働きかけ
防災分野での国際会議
市内企業の海外展開支援
などです。
単なる海外視察だけではなく、国際会議への出席や観光・経済政策を組み合わせた出張も含まれています。
2025年10月のパリ出張は729万6722円
市議会で特に注目されたのが、2025年に2回行われたフランス・パリ出張です。
2025年10月25日から29日までの出張では、郡市長を含む5人がパリを訪問。
総額は729万6722円でした。
主な目的は、
第5回OECDスマートシティと包摂的成長に関する円卓会議への出席
と
観光物産セミナー
などです。
公表された主な経費には、
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 出張総額 | 729万6722円 |
| 5人分の航空運賃 | 約212万円 |
| 車両借り上げ | 106万7640円 |
| 通信費 | 6万1747円 |
などが含まれています。
宿泊費や通訳などを含め、仙台市は1円単位で内訳を公開しています。
4月のパリ出張にも約674万円
2025年4月にも、郡市長はOECDチャンピオンメイヤー会議や欧州からの観光客誘致を目的としてパリを訪れています。
東北放送によると、
4月のパリ出張:約674万円
10月のパリ出張:約730万円
でした。
郡市長本人の往復航空運賃については、4月が約104万5000円、10月が約118万2000円と報じられています。
この2回のパリ出張だけで、同行職員分などを含め約1400万円がかかった計算になります。
なぜ郡市長だけビジネスクラス?
「なぜ市長だけビジネスクラスなのか」という点も議論になっています。
仙台市によると、旅費規定上、市長はファーストクラスを利用できる立場です。
しかし実際の運用では、他の政令指定都市の状況も踏まえ、1ランク下のビジネスクラスを使用しています。
同行する一般職員はエコノミークラスです。
郡市長は10月27日の会見で、長距離移動後の公務への影響やセキュリティ面を挙げ、ビジネスクラス利用について「適切に執行されている」との認識を示しました。
したがって、ビジネスクラス利用自体が市の規定に反していたという事実は確認されていません。
なぜ「高すぎる」と指摘された?
問題提起のきっかけは仙台市議会でした。
伊藤優太市議は、
2025年4月のパリ出張が600万円超
10月のパリ出張が700万円超
だったことを挙げ、「これだけの費用をかけて本当に行く必要があるのか」と経費の妥当性を問いただしました。
つまり、「6672万円に違法な支出が見つかった」という問題ではありません。
公費として支出額が大きいため、費用に見合った成果があるのか説明すべきではないか
という議論です。
2026年10月31日時点で、海外出張費について違法支出や不正受給が認定されたとの情報は確認されていません。
郡和子市長はどう説明している?
郡市長は10月14日の会見で、「高すぎる」との指摘について、疑念を持たれるような形で出張してきたわけではないとして、指摘に「心を痛めていた」と説明しました。
さらに10月27日の会見では、市民から「無駄遣い」と受け取られないよう、詳しい内訳を公開したと説明しています。
市側は今後の海外出張についても、
日程
経費内訳
目的
成果
を公開していく方針です。
海外出張でどんな成果があった?
郡市長は海外出張の成果として、主に次の点を挙げています。
タイ・香港との航空路線
仙台市はタイや香港で観光プロモーションや航空会社へのトップセールスを実施してきました。
郡市長は、こうした活動が国際線の就航や再開につながったと説明しています。
国際会議の誘致
ニューヨークやパリなどで国際的な会議に参加し、仙台市の防災やスマートシティの取り組みを発信。
郡市長は、国際会議や大規模イベントの仙台開催にもつながっているとしています。
外国人宿泊者の増加
郡市長は10月27日の会見で、仙台市内の外国人宿泊者数が3年連続で過去最高を更新していることも成果の一つとして挙げました。
ただし、外国人宿泊者増加や国際線就航が、海外出張だけによって実現したと単純に判断することはできません。
為替や航空会社の経営判断、訪日需要、観光施策など、さまざまな要因が影響するためです。
6672万円は高すぎるの?
「高すぎるかどうか」は、金額だけで一律に結論付けることは難しい問題です。
事実として確認できるのは、
3年間で11回、同行職員などを含め約6672万円を支出した
ことです。
一方で市議会では、税金を使う以上、具体的な費用対効果をより分かりやすく示すべきだとの指摘が出ています。
郡市長側は、
国際線就航
観光客増加
国際会議誘致
海外ネットワークの構築
などの成果を挙げ、出張は必要だったと説明しています。
そのため論点は、
「6672万円という金額そのもの」
だけではなく、
「6672万円に対して市民にどの程度の利益や成果が還元されたのか」
という費用対効果になります。
市民の反応は賛否
仙台放送が紹介したニュースサイトのコメントなどでは、
「市民感覚では高額ではないか」
「成果を具体的な数字で検証すべきだ」
という批判的な意見がある一方、
「海外プロモーションは長期的に評価する必要がある」
「同行職員や通訳を含むなら金額だけで判断できない」
といった意見も紹介されています。
ただし、これらは世論調査ではなく、ニュースサイトなどに寄せられた個別の意見です。
仙台市民全体の評価を示すものではありません。
11月にはアメリカ・カリフォルニアへ出張予定
郡市長は2026年11月にも、アメリカ・カリフォルニア州への海外出張を予定しています。
主な目的は、仙台市の姉妹都市であるリバサイド市との姉妹都市提携70周年事業への参加です。
さらにロサンゼルスでは、旅行会社などを対象とした観光プロモーションを行い、仙台・東北への誘客を働きかける予定です。
詳細については11月10日の定例会見で説明される見通しです。
市は今回の方針に従い、この出張についても経費や成果を公開する考えを示しています。
郡和子市長の海外出張費6672万円をまとめると
郡和子仙台市長は2023年度から2025年度までの3年間で、7カ国・地域へ計11回海外出張し、経費は約6672万円に上りました。
ただし、この6672万円は郡市長個人の旅費ではありません。
同行職員の航空費・宿泊費、通訳費、車両借り上げ費、通信費などを含めた海外出張全体の費用です。
市議会で「高すぎるのではないか」と指摘されたことを受け、仙台市は10月23日から過去3年間の経費内訳と成果を公開しました。
2025年10月のパリ出張では5人で729万6722円かかっており、航空費約212万円、車両借り上げ約107万円などが含まれています。
郡市長は海外出張によって国際線就航や国際会議の誘致、観光振興などの成果が出ていると説明し、支出は適切だったとの立場です。
一方、市議会やネット上では費用対効果をより具体的に示すよう求める意見もあります。
2026年10月31日時点で、違法な支出や不正利用が認定された事実は確認されていません。
今後は、経費そのものだけでなく、海外出張によって得られた成果を仙台市が継続的に数値や実績で示せるかが、費用の妥当性を判断する材料になりそうです。

