
東海汽船で、酒気帯び状態の乗組員による当直勤務や、アルコール検査の身代わり受検など、複数の法令違反の疑いが見つかったと報じられました。
国土交通省は、事業停止や安全統括管理者の解任を命じる手続きに入る方針とされています。
東海汽船は2025年4月にも、船員の労働時間超過や教育訓練の不備、操練記録の不実記載などを理由に行政処分を受けていました。その後、改善報告書を提出し、役員報酬の自主返上まで行っていたため、「行政処分が再発したのではないか」と気になっている人も多いと思います。
結論からいうと、2026年7月31日午前10時59分時点では、今回の事業停止命令は正式決定していません。そのため、厳密には「行政処分が再発した」と確定した段階ではありません。
一方で、2025年の改善報告から約1年後に、新たな安全運航上の法令違反疑いが報じられたことは確かです。正式処分が決まれば、東海汽船に対する新たな行政処分となります。
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東海汽船は行政処分を再発?2026年は正式処分前
東海汽船については、2025年に行政処分を受けた後、2026年にも新たな法令違反疑いが報じられました。
ただし、2025年と2026年では、現在の手続き状況と問題になっている行為が異なります。
2025年の行政処分は国土交通省が正式発表
国土交通省は2025年4月1日、東海汽船に対して次の2つの命令を正式に出しました。
- 船員法に基づく是正命令
- 海上運送法に基づく輸送の安全の確保に関する命令
関東運輸局が2024年11月以降、東海汽船本社や所有船に立入検査を行った結果、労働時間の限度超過や必要な操練の未実施、教育訓練を終えていない人の乗船などが確認されました。
安全管理規程が守られておらず、経営トップや安全統括管理者、運航管理者、船長が職務を適切に果たしていなかったことも処分理由に含まれています。(mlit.go.jp)
2026年は事業停止に向けた手続きが報じられた段階
2026年7月31日の読売新聞オンラインの報道では、国土交通省が東海汽船や旅客船に臨時監査を行い、複数の船で次の問題が見つかったとされています。
- 酒気帯び状態の乗組員による船上での当直勤務
- 別の乗組員によるアルコール検査の身代わり受検
- 旅客乗船口を閉じないままの運航
国土交通省は、船員法や海上運送法に違反する疑いがあるとして、事業停止と安全統括管理者の解任を命じる手続きに入る方針と報じられました。
関東運輸局が東海汽船側の意見を聞く聴聞を行い、その後に正式な処分を決定する見込みです。
2026年7月31日午前10時59分時点では、聴聞の日程、事業停止期間、対象航路、安全統括管理者の解任について、国土交通省と東海汽船から正式発表は出ていません。東海汽船の公式サイトにも、今回の飲酒問題に関する謝罪文や調査結果は掲載されていません。(東海汽船)
「行政処分の再発」といえるのは正式命令が出た後
現段階で確認できるのは、2025年に正式な行政処分を受けたことと、2026年に新たな法令違反疑いが報じられたことです。
今回も正式な事業停止命令や安全確保命令が出た場合には、行政処分を受けた後に再び行政処分を受ける形になります。
一方、聴聞前の段階では処分内容が変更されることもあるため、「事業停止が決まった」「行政処分の再発が確定した」とまではいえません。
東海汽船の過去の行政処分を時系列で確認
東海汽船では、2025年4月の行政処分だけでなく、その前にも関東運輸局から行政指導を受けていました。
その後の改善報告と役員報酬返上、2026年に報じられた問題までを時系列で並べると、次のようになります。
| 時期 | 東海汽船をめぐる主な動き |
|---|---|
| 2023年9月 | 高速ジェット船が熱海港で機関停止後、接岸時に岸壁へ接触 |
| 2024年12月 | 関係官庁への報告を怠ったとして関東運輸局が行政指導 |
| 2024年11月以降 | 関東運輸局が東海汽船本社と所有船へ立入検査 |
| 2025年4月1日 | 船員法の是正命令と海上運送法の安全確保命令 |
| 2025年5月1日 | 東海汽船が関東運輸局へ改善報告書を提出 |
| 2025年5月2日 | 改善報告書の要約と謝罪を公式発表 |
| 2025年6月10日 | 社長ら4人の役員報酬自主返上を発表 |
| 2026年7月31日 | 飲酒当直や身代わり検査などが報じられ、事業停止手続きへ |
2024年12月の警告は行政指導であり、2025年4月の是正命令や安全確保命令とは位置づけが異なります。(東海汽船)
2024年は事故の報告を怠ったとして行政指導
東海汽船は2024年12月、関東運輸局から「輸送の安全確保等に関する警告」を受けました。
原因となったのは、2023年9月に高速ジェット船「セブンアイランド大漁」で起きたトラブルです。
同船は熱海港を出港した直後、ウォータージェットポンプにごみを吸い込み、2機あるエンジンのうち1機が停止しました。熱海港へ戻って接岸する際には、船体が岸壁へ軽く接触しています。
東海汽船は、この件を当時、関係官庁へ報告していませんでした。事故そのものに加え、報告を怠ったことを理由として行政指導を受けています。
東海汽船が2025年に受けた行政処分の違反内容
2025年の行政処分では、乗組員の勤務時間、教育訓練、非常時の操練、航海日誌の記録など、複数の問題が確認されました。
国土交通省の命令文と東海汽船の改善報告書では、人数や発生期間も公表されています。
船員82人中73人が労働時間の上限を超過
東海汽船の改善報告書によると、2024年6月から9月までの間、全船員82人のうち73人が労働時間の上限を超えていました。
割合にすると89%です。
船員法で定められた1日14時間、または1週間72時間の上限を超えて作業に従事していたことが確認されました。
東海汽船は原因として、伊豆諸島航路で1日に最大11回の入出港を行う過密な運航ダイヤや、限られた停泊日に整備作業が集中していたこと、船員不足などを挙げています。
教育訓練を終えていない乗組員が乗船
2025年の調査では、旅客の避難に関する教育訓練を受けていなかった乗組員が6人確認されました。
高速船の特性に応じた操船教育を受けていなかった乗組員も4人いました。
運航管理者は、乗組員が安全運航に関する教育訓練を修了しているか、十分に確認していなかったとされています。
非常時の操練を長期間実施していなかった
火災や浸水などの非常時に備えた操練についても、規定された内容や頻度で長期間実施されていませんでした。
さらに、実際には操練を行っていないにもかかわらず、航海日誌には実施した旨が記載され、本社の運航管理者にも実施済みとして報告されていました。
国土交通省の命令文では、操練未実施を伏せる不実記載が全社的に広がっていたと指摘されています。
経営トップや安全統括管理者にも管理責任
2025年の行政処分は、現場の船員や船長だけを対象としたものではありません。
国土交通省は、経営トップが安全最優先や法令順守に主体的に関与していなかったこと、安全統括管理者と運航管理者が操練や教育訓練の状況を把握できていなかったことも問題としました。
東海汽船自身も、違反の根本には全社的な遵法意識の欠如があったと説明しています。(東海汽船)
東海汽船の改善報告書には何が書かれていた?
東海汽船は2025年5月1日、関東運輸局長宛てに改善報告書を提出し、翌5月2日に要約を公表しました。
改善報告書には、経営トップの関与、教育訓練、船員の労働時間、安全管理体制という複数の項目にわたる対策が記載されています。
経営トップが毎月操練に立ち会う対策
東海汽船は、経営トップが再発防止策の策定に主体的に関わり、安全マネジメント会議で操練や教育訓練の実施状況を報告させるとしました。
経営トップ自身が月に1度操練に立ち会い、内部統制部門にも操練の監査を指示するとしています。
安全統括管理者と運航管理者も定期的に操練へ立ち会い、予定通り実施されたかを直接確かめる対策が盛り込まれました。
教育訓練の管理者を1人から4人へ増員
教育訓練を受けていなかった乗組員については、改善報告書の公表時点ですでに訓練を終えたと報告されています。
さらに、教育訓練の管理者を1人から4人に増やし、実施状況を一覧表で管理することになりました。
船長、船舶部門、内部統制部門が一覧表を共有し、未修了者を乗船させない体制を設けるとしています。
船員9人の採用や過密ダイヤの見直し
船員の長時間労働に対しては、甲板部5人、機関部4人の計9人を採用する計画が示されました。
本社側の労働時間管理者を1人から3人に増やし、労働時間管理システムも導入するとしています。
ほかにも、一部便の減便や寄港中止を含む過密ダイヤの見直し、月1日の操練用停泊日の確保、整備作業の外注化が改善策に入りました。
通報窓口や外部アドバイザーも導入
全社的な安全管理体制の対策としては、eラーニングによる社員教育、コンプライアンス窓口の周知、船員との個人面談などが掲げられました。
外部講師によるコンプライアンス研修や、外部の安全アドバイザーによる管理体制のチェックも行うとしています。
東海汽船の役員報酬自主返上は誰が対象だった?
東海汽船は2025年6月10日、行政処分に関する経営管理責任を明確にするとして、役員4人の報酬を自主返上すると発表しました。
代表取締役社長だけでなく、常務取締役、取締役、監査役も対象となっています。(東海汽船)
社長は月額報酬30%を2か月返上
東海汽船が発表した対象者と返上内容は次の通りです。
| 対象者 | 自主返上の内容 |
|---|---|
| 代表取締役社長・山﨑潤一氏 | 月額報酬の30%を2か月 |
| 常務取締役・倉﨑嘉典氏 | 月額報酬の20%を2か月 |
| 取締役・竹崎啓介氏 | 月額報酬の10%を2か月 |
| 監査役・藤間修氏 | 月額報酬の10%を2か月 |
東海汽船は発表の中で、安全管理体制の再構築、操練や教育訓練の適正化、労働時間超過への対策を全社で進めると改めて表明しました。
改善後になぜ東海汽船で再び法令違反疑いが出た?
2025年の改善報告書では、管理者の増員や操練への立ち会い、通報窓口、外部アドバイザーなど、幅広い対策が示されていました。
それにもかかわらず、2026年に酒気帯び当直やアルコール検査の身代わり受検が報じられたことで、改善策が現場でどこまで機能していたのかが問われています。
2025年と2026年の違反内容は同じではない
2025年の行政処分で確認された主な違反は、長時間労働、教育訓練の未実施、操練の未実施、航海日誌の不実記載でした。
2026年に報じられた問題は、酒気帯び当直、アルコール検査の身代わり受検、旅客乗船口を閉じないままの運航です。
2025年にも同じ飲酒違反があり、それが繰り返されたという公式情報は出ていません。違反内容が同一という意味での「再発」ではありません。
共通するのは安全確認と管理体制の問題
違反内容は異なりますが、2025年と2026年の問題には、乗組員の状態や安全確認を管理者が把握できていたのかという共通点があります。
2025年は、実施されていない操練が実施済みとして記録されていました。2026年は、本来の当直者とは別の乗組員がアルコール検査を受けた疑いが報じられています。
いずれも、書類や検査結果と実際の現場が一致していたのかが焦点となります。ただし、今回の飲酒問題が起きた原因や、管理職がどこまで把握していたのかは公表されていません。
改善策が実行されていなかったとはまだ決まっていない
新たな問題が報じられたからといって、2025年に示した改善策がすべて実行されていなかったと決まったわけではありません。
酒気帯び当直や身代わり検査がいつから行われていたのか、2025年の行政処分より前から続いていたのか、改善報告書の提出後に発生したのかも明らかになっていません。
東海汽船の社内調査や国土交通省の監査結果が公表されれば、改善策との関係も見えてくる可能性があります。
東海汽船の事業停止や今後の行政処分はどうなる?
2026年7月31日時点では、東海汽船の事業停止命令や安全統括管理者の解任命令は正式に出ていません。
今後は聴聞を経て、違反事実、対象航路、事業停止期間、追加の安全確保命令などが決まる見込みです。
正式処分は聴聞後に決まる見込み
聴聞では、国土交通省側が示した事実や処分案について、東海汽船側が意見を述べる機会が設けられます。
読売新聞オンラインでは、関東運輸局が近く聴聞の実施を通知し、正式な処分は聴聞後に決定すると報じられています。
2025年は是正命令と輸送の安全確保に関する命令でしたが、今回は事業停止も処分案に含まれているとされています。
安全統括管理者の解任も焦点
今回の報道では、事業停止だけでなく、安全統括管理者の解任命令も検討されていると伝えられています。
東海汽船の公式サイトでは、安全統括管理者として執行役員運航本部長が2025年3月25日付で選任されたことが掲載されていますが、氏名は公表されていません。(東海汽船)
現時点で解任命令が出たわけではなく、後任人事についても発表されていません。
東海汽船の行政処分再発で分かっていること
東海汽船では、2025年4月に行政処分を受け、改善報告書の提出や役員報酬の自主返上を行いました。
その約1年後、新たに飲酒当直や身代わり検査などの法令違反疑いが報じられています。
- 2025年4月に是正命令と輸送の安全確保命令を受けた
- 船員82人中73人が労働時間の上限を超えていた
- 教育訓練や非常時の操練にも不備があった
- 操練を実施したとする不実記載も確認された
- 2025年5月に改善報告書を提出した
- 2025年6月に社長ら4人が役員報酬を自主返上した
- 2026年に酒気帯び当直や身代わり検査の疑いが報じられた
- 事業停止と安全統括管理者解任の手続きが検討されている
- 2026年7月31日時点では正式処分は決まっていない
現段階では「行政処分が再発した」と確定したわけではありませんが、過去の行政処分後に新たな安全上の問題が表面化した状況です。
今後は、東海汽船が今回の飲酒問題をどのように説明するのか、2025年の改善策がどこまで実行されていたのか、関東運輸局がどのような正式処分を出すのかが焦点となります。

